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正直なところ、思っていたほどに、ショックではなかったのだ。逆に、周りの気の使いように戸惑うくらい。だって、こういう事は、昔から何度もあったことで、今に始まったことではないのだ。そして、これで全てが終わりでないことはわかっていたし、信じてもいた。
---俺は、東京選抜に、落ちた。
もう何度目になるか、胸の中でその事実を反芻する。回数を追うごとに、悔しさは少しづつ後退して、代わりに胸を満たすのは、苦しさとやるせなさ。そしてこれを解消させる方法は、ひとつしかないこともわかっていた。
「…っし、練習すっか」
呟いて、立ち上がる。
生暖かい風が、柔らかく南東の方角からふいている。
風に乱れた髪をかき上げながら、思わずぎょっとした。一瞬、返ってくる返答を、無意識に待っていた自分に気づいて。
「…最悪だ」
…こんな時に、あいつのことを思い出すなんて。
返答は、返ってなどこない。だって、あいつは、藤代は、ここにはいないのだから。選抜の発表以来、藤代とはまともに会話をかわしていない。避けられている、といった方が正しいかもしれない。
あー、くそっ、ムカムカする。
こんな時だからこそ、藤代に会いたいと思ってしまう自分に、ムカムカする。
◇
ふと、宿題のプリントから顔をあげると、笠井は思い出したように言った。
「三上先輩、大丈夫なのかなあ?」
「へ?なんのこと?」
藤代は、さっきから一問目で止まったままのペンを放った。
「最近、先輩元気ないじゃん。元気ないっていうか、根詰めてるっていうか…、選抜からさ」
「あ~…だいじょーぶじゃん?」
興味なさそうに言ったら、笠井があきれた顔でため息をついた。
三上先輩って、人気者。色んな人に心配されてて。でもたしかに、先輩がいないと部活もなんかやる気でないかも。
…でも、三上先輩は大丈夫。心の中で、補足する。
心配しなくても、ひとりで解決して、ひとりで立ち上がって、前を向く強い人だから。俺が何かをする必要なんて、多分ぜんぜんない。だから、俺さ、
「待ってんだよね」
笠井が、カタンとペンを置く音で我に返った。
「…あ、今、声出してた?」
どこかうんざりした顔で、笠井がうなずく。
「何を待ってるかは聞かないけど、早くプリントやりなよ」
「あーーー、三上先輩に会いたい!」
「人の話聞いてる?ていうか、会ってるじゃん毎日」
「会ってない。最近会わないようにしてた」
「…ふうん」
多分、あともう少し。あともう少しで、あの人は自信を取り戻す。
「会いたいよー」
「うるさい」
・三上に優しい藤代は、こんなかんじがいい。
・優しさをむけられた当人はわからない感じ。
・お互いに会いたがっている。
・でも、ホモじゃなくてあえてノーマルっていうのの方が萌えるかも。