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「…何してんの?」
冷たい声音に、自分でもそうとわかるくらいにびくりと身体が震えた。
藤代の目なんて、見れるわけがない。けれど彼の軽蔑に似た視線が自分に注がれるのがはっきりと想像できて、泣きたくなる。逃げたくなる。呪いたくなる。もうどうなってもいい、そう思った数分前の自分自身を。
「見て…、わかんねえの」
情けなく震える声を、どうしようもない。自分で押し倒しておいて泣くなんて、馬鹿じゃねえの、馬鹿じゃねえの。
ぐっとうな垂れた視線の先で、藤代の胸が上下する。不意に触れ合っている部分の熱が肌に鮮明に感じられて、息苦しくなった。
もうこれ以上、我慢できないと思ったんだ。触れたくて、触れたくて、一生に一度、一度だけでいいと思った。だけど、藤代を押し倒して、その上にのって、今更引き下がれないっていうのに、もう後悔してる。
だって、嫌われたくないんだ。
嫌われる覚悟なんて、そんなもの最初からできていなかった。嫌われてもいいって思った、そんなん、嘘だ。
「先輩、ホモなの?」
心臓が、一瞬動きを止めた気がした。
だけどそれはやっぱり気のせいで、ただ、痛みをのせたまま全身に血を送る。血の巡る軌跡が、今ならわかるような気がする。痛みが、全身に広がっていくから。喉を超えて駆け上がった痛みが、ぎゅっと涙腺をしぼる。
「……ちがう、お前が、お前だけが」
泣くな、男の涙なんて、武器にもならない。自分に言い聞かせる言葉が、余計に惨めさを助長する。
お前がもっと、あからさまに抵抗とか、嫌悪感とか、そういうもの見せてくれればこんな躊躇なんてしなくてすんだのに。
「俺が?」
「……っ」
目を瞑って、深呼吸する。
「……す…き…なんだ」
搾り出した声は、やっぱり震えていた。
後悔のプールに、水がどうどうと流れ込む。言ってしまった。なあ、ずっと頑張って我慢してたのに。言ってしまった。このまま後悔に溺れて死ねたら、いっそ楽なのに。
「それ、つまりホモなんじゃないの?」
「…なら、それでいいから、一回でいいんだ、…頼む」
懇願が、焦燥を生む。何を頼んでいるのだろう、わけがわからない。だけど、このまま強引に先を続けるだけの勇気なんてない。
「嫌だっていったら、あんたやめるの?」
どこか宥めるような気配に、はっとする。思わず、すがるような気持ちで藤代をみてしまう。頑なに避けていたはずの、藤代の目を。
けれどそこにはひどく無表情な藤代の目があるだけで、瞬間息ができなくなる。避けていたのは、少しでも、ほんの少しでも傷つきたくなかったから。藤代がどういう反応をするかなんて、始めからわかってた。胸はさっきから死にそうなほどに苦しくて、本当にどうしたらいいのかわからない。本当に。
「やめたら、…無かった事にしてくれんの?」
「まさか。多分、一生あんたのこと軽蔑する」
藤代が哂った。
ああ、と思った。開いてしまった箱を、もう元に戻すことはできないのだ。
藤代の頬に手を伸ばす。
もう戻れないのだ、それならいっそ。
「お前は何もしなくていい、…普通のセックスと一緒だから」
冷たい声音に、自分でもそうとわかるくらいにびくりと身体が震えた。
藤代の目なんて、見れるわけがない。けれど彼の軽蔑に似た視線が自分に注がれるのがはっきりと想像できて、泣きたくなる。逃げたくなる。呪いたくなる。もうどうなってもいい、そう思った数分前の自分自身を。
「見て…、わかんねえの」
情けなく震える声を、どうしようもない。自分で押し倒しておいて泣くなんて、馬鹿じゃねえの、馬鹿じゃねえの。
ぐっとうな垂れた視線の先で、藤代の胸が上下する。不意に触れ合っている部分の熱が肌に鮮明に感じられて、息苦しくなった。
もうこれ以上、我慢できないと思ったんだ。触れたくて、触れたくて、一生に一度、一度だけでいいと思った。だけど、藤代を押し倒して、その上にのって、今更引き下がれないっていうのに、もう後悔してる。
だって、嫌われたくないんだ。
嫌われる覚悟なんて、そんなもの最初からできていなかった。嫌われてもいいって思った、そんなん、嘘だ。
「先輩、ホモなの?」
心臓が、一瞬動きを止めた気がした。
だけどそれはやっぱり気のせいで、ただ、痛みをのせたまま全身に血を送る。血の巡る軌跡が、今ならわかるような気がする。痛みが、全身に広がっていくから。喉を超えて駆け上がった痛みが、ぎゅっと涙腺をしぼる。
「……ちがう、お前が、お前だけが」
泣くな、男の涙なんて、武器にもならない。自分に言い聞かせる言葉が、余計に惨めさを助長する。
お前がもっと、あからさまに抵抗とか、嫌悪感とか、そういうもの見せてくれればこんな躊躇なんてしなくてすんだのに。
「俺が?」
「……っ」
目を瞑って、深呼吸する。
「……す…き…なんだ」
搾り出した声は、やっぱり震えていた。
後悔のプールに、水がどうどうと流れ込む。言ってしまった。なあ、ずっと頑張って我慢してたのに。言ってしまった。このまま後悔に溺れて死ねたら、いっそ楽なのに。
「それ、つまりホモなんじゃないの?」
「…なら、それでいいから、一回でいいんだ、…頼む」
懇願が、焦燥を生む。何を頼んでいるのだろう、わけがわからない。だけど、このまま強引に先を続けるだけの勇気なんてない。
「嫌だっていったら、あんたやめるの?」
どこか宥めるような気配に、はっとする。思わず、すがるような気持ちで藤代をみてしまう。頑なに避けていたはずの、藤代の目を。
けれどそこにはひどく無表情な藤代の目があるだけで、瞬間息ができなくなる。避けていたのは、少しでも、ほんの少しでも傷つきたくなかったから。藤代がどういう反応をするかなんて、始めからわかってた。胸はさっきから死にそうなほどに苦しくて、本当にどうしたらいいのかわからない。本当に。
「やめたら、…無かった事にしてくれんの?」
「まさか。多分、一生あんたのこと軽蔑する」
藤代が哂った。
ああ、と思った。開いてしまった箱を、もう元に戻すことはできないのだ。
藤代の頬に手を伸ばす。
もう戻れないのだ、それならいっそ。
「お前は何もしなくていい、…普通のセックスと一緒だから」
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