まさにジャンク 未選択 忍者ブログ
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 このところ調子がわるいのは、たしかに精神的な部分があるのかもしれない。けれど、別に我慢しているとか、そういうことじゃない。
そういうことじゃ、ないんだ。

「あんまり我慢するなよ」

コーチがそう言った瞬間、反射的に手にしていたドリンクをテーブルの上においた。すっと、気持ちがその場から波がひくように遠ざかる。
裏切られた、と感じたのはおおげさではない。世界で一番嫌いな言葉を、信頼しているコーチから聞いたのだ。たとえばそれに悪気がないとしても。

「我慢するな」、と昔から何かあるたびに言われてきた。
大人からみて、そんなに危うい人間にみえていたのだろうか?ストレスで不安定になるような? 
けれどこちらとしては我慢なんてしているつもりはないから、そんなことを言われるたびに「はあ」と生返事を返すしかなかった。まさにそれが我慢なのだ、というのならば、それはそうかもしれないけれど。
我慢なんてしてない、と言い返しても、言葉どおりに取られないのが常なのだ。

沈んでいた心が、じわりじわりと苛立ちにシフトする。



「我慢するな、って言われたよ」
苦笑交じりでコーチに言われたことを話すと、少しだけ前を歩いていた山口が振り返った。
「でも、ちょっとわかるかも」
「…え?」
不意に募ったわずかな動揺は、山口には気づかれないうちに飲み込んだ。
「渋沢、優しいから。いつも気を使ってるような気がしちゃうんだよね。我慢しなくていいのにって。それが、素なんだろうけど…渋沢?」
「あ、いや、そうか、そうだよな」
ははは、とごまかすように笑った。山口は一瞬不思議そうな顔をしたけれど、すぐに気を取り直したように前をむいた。
たしかに、まったく我慢をしていないかといえば嘘になる。
今だって、山口の後ろから抱きついて、襲って、触って、焦らして、めちゃくちゃにしてやりたいと思ってる。だけど、好きな人なんだ。大事にしたいんだ。我慢ぐらい、するだろ、普通…?

「おー、須釜!」
前を行く山口の声に、思考が断ち切られる。顔をあげると、向こうからやってきた須釜がちょど目に入った。
山口のおかげで忘れかけていた苛立ちが、少しずつ頭をもたげてくる。胸の奥から、嫌な感じがひたひたと迫ってくる感じがする。
「あははは!何いってんだよ!」
それほど遠くない向こうで、山口が爆笑している。須釜が笑いながら、山口の耳元にしきりに何かを呟いている。
例えば山口が誰かと笑いあっていたって、普段ならばそんなに気にならないのに。先刻山口の言葉で心の中で芽ばえた暗い感情が、余計な場所を刺激する。普通なら押さえ切れるはずのその感情を。
だめだ、冷静になれ。
言い聞かせながら、もう一度顔をあげる。だめだ、と思った。とりあえずここから逃げよう。
その時、山口の耳元で何かを呟いていた須釜がこちらを見た。何気ない視線だったのかもしれない。けれど、その目を見た瞬間、つい今しがたの決意がまるで跡形もなく霧散した。
須釜が、山口の腕に触れる。
衝動は、止められなかった。
「山口!」
「あ、しぶさっ、えっ、何?痛っ…」
須釜の手から奪い取るようにして、腕を掴んだ。力の限り握り締めたから、痛いのなんてあたりまえだ。そしてそのまま、山口の都合なんておかまいなしに強引にひきよせた。
「おい!なんなんだよ!須釜、ごめん、あとで!」
腕を掴んだまま山口をひきずるようにして歩きだすと、山口は置いてけぼりになった須釜に申し訳なさそうに言葉を投げた。
そんなことでさえ苛立たしい。舌打ちをしたい衝動を寸でのところでこらえて、逃げるようにしてトイレに向かった。


「おい、なんなんだよ!!!!」
山口の怒鳴り声を聞くのは久しぶりだ、なんてどこかで冷静な事を思う。
「お前こそなんなんだ」
けれど、口から出たのは不機嫌を露にした低い声。
手のひらを思い切り握り締めて、ふざけるな、と思った。
俺がお前の手に触るのに、どんな勇気がいるか知ってるのか?須釜に気軽に触れられたその手に、俺はずっと触れたくて触れられなかったのを知っているのか?
溢れ出た感情はけれど言葉にならなくて、かわりに山口の体を個室のドアに投げ飛ばすようにして押し付けた。
本当は、優しくなんてないんだ。山口をめちゃくちゃくにしたいって思ってる。深く深く傷つけて、俺のことしか考えられないようにしてやりたい。
限界、なんだ。
「…我慢、してたんだ」
我慢、しなくていいって言っただろ?
我慢するなと言われて我慢しなくなるほどの人間なら、そもそも我慢なんてするわけないだろう?
泣きそうになったのを、気づかれたのかもしれない。宥めるように伸ばされた手を、乱暴に振り払った。
「渋沢、なあ、どうしたんだよ」
困ったような、怯えたような、哀れみのような、複雑な顔で山口が俺をみる。山口の目は、いつも、どんなときも変わらずまっすぐだ。今だって。こんな状況なのに、
俺のことを理解しようと必死になっている。そんな必要なんてないのに。ただ、山口を、自分のものにしたくてたまらないだけなのだ。ぐらぐらしそうになる気持ちをあざ笑うかのように、心と乖離した手が山口のジャージの下に入り込む。
いつもと変わらない温かい素肌をなでて、まだ柔らかい性器に手を伸ばす。
「…ッ!やめろって、こんなとこで…っぁ!」
心臓がどくん、と揺れた気がした。それはひどく獰猛な力で、すでに硬くなりはじめていた下半身に血を送る。
山口を、大事に、大事に扱いという気持ちと、己の欲望に身を任せたいという気持ちが混ざり合って、身体の中で魔女の鍋みたいにぐちゃぐちゃになっている。
だけど、これだけは事実だ。

俺は、興奮している。

「あっ…なあ、…っ、やめろって…渋沢ッ!」
うるさい、聞かない、今日はきかない。もうどうなったっていいんだ、だって、俺は、

「なあ…、渋沢、なんでお前が泣いてんの?」

「…一応言っとくけどさ、さっき俺に反抗したこと許してないからな」
 誠一が、顔を上げた。そうとは意識せずに、三上は足を一歩後退させる。
「は、なにそれ…」
「お前ってほんと馬鹿だよなあ、表だったら俺に対抗できると思ってるんだから。後でまた後悔することになるって、何でわかんねえの?学習しろよ」
 まあ、そこが面白いんだけど。と言って、誠一が側の椅子を引き寄せる。ギシッ、とさび付いたスプリングが嫌な音をたてる。
「テスト、探さないと…」
「残念、もう見つかりました」
 誠一が、机の上の紙をぴらりと摘んで振ってみせる。背筋を一筋汗がつたったのは、唐突に変わったその場の雰囲気を感じ取ったからだ。
誠一はテスト用紙をひらりと紙の山に戻しながら、おいで、と低い声で言った。
「待たせるな。3秒数える内にこなかったら、これ入れるぞ」
 三上はほとんど条件反射で床を蹴った。これ、といって持ち上げたその物体の使い道を、考えただけで悪寒がする。
「合格」
 誠一は満足そうにそう言って、手にしていた試験管をもう片方の手にパシリと音をたててもち変えた。
「ここに座れ」
 椅子に座ったままの誠一が、目の前の机をさす。
 ああ、と思った。いつも誠一が何を考えているかなんて全くわからないけれど、この時だけはわかってしまう。それは残酷でしかないのだけれど。
 重い足取りで誠一の前までくると、よじ登るようにして机に座った。投げ出した足で、誠一を蹴り上げたい衝動をなんとかして堪える。
 誠一が、何かを命令しようとして、けれど一瞬思い直したように立ち上がった。
誠一の指が、肩に触れる。この先の行為を思って震えるからだは、決して期待からなどではない。長く綺麗な指が自分のベストのボタンを思いのほか丁寧に外していくのを、三上はなす術もなく見ていた。最後のボタンを外し終えた手は、そのまま白いシャツの生地を滑って上へと戻ってくる。その意図を察して、三上は僅かに体を強張らせた。
「…ッ!」
 指は、三上の胸のあたりでくるくると円を描く。少し伸びた爪の先が、偶然のように、けれど明確な意図を持って中心を掠る。シャツが敏感な場所に触れて、全身がぞわりとした。
「この間弄りすぎて血が出ちゃったけど、治った?」
「…やめっ、ろっ…!」
「もしかして、服がすれただけでも感じちゃうとか?」
 前に、誠一に触れられたときの悪夢が脳裏に蘇る。まるでたった今、その責めを受けていると錯覚するほどに鮮明に。
 それだけはやめてほしい。必死な思いで誠一を見ると、
「…この間は結局イケなかったから、もう一度やってみようか」
 ひどく残忍な笑みで、誠一が笑った。
「くっ…、ッ」
 不意に人差し指と親指の間で固くなり始めた、けれど柔らかいその場所を挟まれる。全身の血が、その場所に一斉に密集していくような感覚がした。暑い。息苦しい。悔しい。誠一の指は彼の自負するところに忠実で、器用に性感をひきずりだしていく。
 誠一のもう片方の手が、シャツの上を滑るようにして降りた。
 小さく、息を飲む。
「まてっ、」
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